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世界のことを知りたい

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ディープラーニングとはどんなものか軽く理解しておこう『人工知能は人間を超えるか』

松尾 豊(著)
KADOKAWA / 中経出版 (2015/3/10)

この本を読もうと思っている人がいたら早く読んだ方が良いです

この本では AI(人工知能)がどのような活躍をしているのかが説明されるのですが、当然ですが、「最近のAIの出来事」は執筆完了時の2015年の初めあたりまでのものしか書かれておりません。

AI のブレイクスルーである「ディープラーニング」とは何かを説明してくれて浅く理解できたのは良かったのですが、私はいきなり囲碁のトップレベル棋士を負かした AlphaGo はどうやって学習をしていたのか気になっていて、そこまで解説してくれると有り難かったです。

「ディープラーニング」という言葉をみんなが知るようになったのは一般レベルでは AlphaGo あたりからでしょう。

この本は AlphaGo が話題になるよりも前から「ディープラーニングはブレイクスルーだ」と語っているわけで、さすがですね。

本の出版後に AI の活躍がいくつもあります。この本を読むのが後になればなるほど、古い AI の話をしていることになってしまいます。

この本の旬が終わりかけています。そういう意味で早く読んだ方がいいのです。

ただそれは「最近の出来事」の解説としての旬であって、AI の仕組みを知る上では全然色褪せません

「意味」とプラトンのイデア界

コンピューターには言葉や知識をどかどか入れられますが、それが意味するものと結びつけることができない。これを「シンボルグラウンディング問題」と言うそうです。

ここを読んでいてプラトンのイデア界の話を思い出してしまいました。

「人間が美しいものを見て美しいと感じるのは、魂が以前はイデア界にあったからだ」ということをプラトンが言ったそうですが、完璧な世界であるイデア界を思い起こすことによって、私達が生きている世界を理解しているということです。

イデア界の話は魂とは何ぞやを考えた時の文脈なので、AI の話とはちょっと別次元となりますが、線がよれよれの下手くそな三角形を見ても「あ、三角形だ」と感じるのもイデア界にある完璧な三角形を思い起こしているからだそうです

コンピューターにその下手くそな三角形を「三角形」だと分からせるのは難しい。「三角形」というものを知っていても、下手くそな三角形を見て三角形だと判断できない。それには三角形の意味が必要となります。

コンピューターに「意味」を分からせるにはイデア界に連れて行けばいいわけですね!

…はい、話を戻しまして、知識と意味を結びつけるために機械学習をする訳ですが、その方法がいくつか説明されます。ディープラーニングはニューラルネットワークを使っています。

ニューラルネットワークについては「がんばれ森川君2号」を生み出した森川幸人さんの「マッチ箱の脳(AI)―使える人工知能のお話」が分かりやすいです。

その本の方が実際にどのようにニューラルネットワークが動くのか想像しやすいです。

これまで機械学習時に AI に答えを教えてあげるのが人間だったのですが、人間いらずにしたのがディープラーニング

人間いらずなのです。だからブレイクスルー。

人間が機械学習を細かく弄るよりも、コンピューターにやらせた方が良い結果がでるようになりました。

本の中では画像認識で衝撃が走った 2012年のコンペティション(ILSVRC)が紹介されています。画像に写っているものがなんなのかを判断させる AI を競うコンペらしいのですが、これまでエラー率が頑張って頑張って26%だったところを、新星のごとく現れたディープラーニングのAIが16%。衝撃。

このあたりから人工知能の研究をしている人たちの中でディープラーニングが話題になったのでしょう。

AlphaGo も、囲碁の AI がプロ棋士に勝つにはまだもう少し時間が掛かりそうだと言われていたところに急に現れてプロ棋士を軽やかに超して衝撃でした。

ディープラーニングの仕組みについては軽く説明されていますが、ちょっと分かりにくいです。高度な知識を持っている著者があまり深入りしないように説明しているためか、うまく理解できませんでした。

でも浅くは理解できました。「特徴」をコンピューターにうまく探させればいいわけですね。

AI がディープラーニングをできるようになり、停滞気味だった AI の進化に突破口が現れたようです。

シンギュラリティって?

最近「シンギュラリティ」という言葉をよく見ますよね。英語で「特異点」という意味。

これまで気にはなっていた単語だったのですが、調べないでこれまで来てしまいました。しかしこの本で思いがけずその「シンギュラリティ」という言葉に出会いました。

簡単なことでした。人工知能が人間を超えてしまうその時を「シンギュラリティ」と言うと。

人間をほんの少しでも超えれば、人工知能は自らどんどん高度な存在になっていく。これに対してどうするの、ということですね。

「人間いらないんじゃね?」問題ですね。これについても触れられていますが、そんなに深入りしていません。

この本を読んで良かった。「シンギュラリティ」を知らないまま過ごして時代遅れになるところでした。

自動運転、早く来い

それはそうと、私は自動運転をすごく待望しています。

私が車を運転するよりもうまいだろうし、事故にも遭わないだろうなと考えています。

人間の身体能力なんてコンピューター様に比べれば全然かないません。とっさの判断もコンピューターの方が早い。お酒を飲んでも家までよろしくーと車に乗れば良い。

渋滞問題もコンピューターに任せておけばいい。渋滞にならないようにうまくやってくれるでしょう。

最高だなぁと思っていたわけですが、Google は自動運転の開発から手を引くとか何とか。残念…。

松尾 豊(著)
KADOKAWA / 中経出版 (2015/3/10)