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読書習慣を付けたい。…マンガも本だよね?

年を取っても記憶力は落ちない。お腹が空いているときに記憶せよ『のうだま 2』

上大岡トメ(著), 池谷裕二(著)
幻冬舎 (2016/8/5)

ものすごくためになる本でした。前作「のうだま 1」とは違って、文字だけで説明する部分とマンガの割合がちょうどいいです。

前作はマンガが過多で、文字で説明している部分はすでにマンガで説明されていて同じ事を二回読むことになってしまいました。今作は改善されています。

前作では「やる気を出す方法」に重きを置いていましたが、今作は「うまく記憶をする方法」が説明されています。この部分がものすごくためになります

前作のことは以前書きました。

年を取っても記憶力はほとんど落ちない

「年を取ると脳細胞が減る」ということは聞いたことがあると思いますが、脳科学者の池谷さんによると、100歳になってもほとんど減らないようです。

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物忘れが増えたと感じるのは、脳の中のデータ量が増えたから、また、長く生きたから時間が過ぎるのが早く感じるから、などの理由で、物忘れをしたことが多く感じるだけのようです。

子供の時も物忘れをしていたけどそれを忘れていたり、年を取ると時間の流れを早く感じるので、物忘れがより短い期間で何度も起きているように感じてしまう

説明されるとなるほどな、と納得。記憶力が落ち、物忘れが多くなったと感じるのは、単にそう感じるだけで、実際は変わっていないようです。

年を取ると記憶力が落ちると思っていると本当に記憶力が落ちてしまうようで、実験するとデータにそう表れます

これらは非常に有り難い話で、記憶力は年を取っても衰えないのです!勇気をもらえますね!

記憶力が落ちてしまうから、色々な事を記憶できなくなっているからと諦めていることが多い人は本当に助かる話です。

ところで、年を取ると時間が早く感じる法則名は毎回忘れてしまいます。「ジャネーの法則」ですね。覚えておかないと。

ジャネーの法則 - Wikipedia

ジャネーの法則(ジャネーのほうそく)は、19世紀のフランスの哲学者・ポール・ジャネが発案し、甥の心理学者・ピエール・ジャネの著書[1]において紹介された[2]法則。主観的に記憶される年月の長さは年少者にはより長く、年長者にはより短く評価されるという現象を心理学的に説明した。 簡単に言えば生涯のある時期における時間の心理的長さは年齢の逆数に比例する(年齢に反比例する)。 例えば、50歳の人間にとって1年の長さは人生の50分の1ほどであるが、5歳の人間にとっては5分の1に相当する。よって、50歳の人間にとっての10年間は5歳の人間にとっての1年間に当たり、5歳の人間の1日が50歳の人間の10日に当たることになる。

記憶するときに大事なのはシータ波を出すこと

新しい体験をするときや興味があるものにはシータ波が出るようです。

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シータ波が出ているときは記憶の定着が良い。つまりシータ波を出すのが目的になります。

同じようなことを繰り返していたり、嫌々やっているとシータ波が出ないので覚えにくくなる。何かを覚えたいときにはできる限りシータ波を出しながら覚えると効率が良くなるようです。

シータ波が出ていると、ウサギを使った実験では4倍ほど記憶の定着が良くなるようです。シータ波はものすごく重要ですね。

扁桃体を刺激する

よく覚えるためには、他にも扁桃体を刺激すると良いようです。

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悔しかったり、嬉しかったり、何かの感情が伴うと記憶に残りやすいということを聞いたことがあるかと思います。

これ、池谷さんが発見したことのようです。すごいですね。この事実はたくさん語られていて、今ではたくさんの人が知っていることです。

お腹が空いている方が記憶力が高まる

これは初めて知りました。お腹が空いているときの方が記憶力が高まるようです。

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お腹が空きすぎているとダメかもしれませんが、お腹が空くとシータ波が出るようです。シータ波と記憶の上で書いたとおりで、シータ波が出ていた方が記憶力が高まります。

これは知っておいた方がいいですね!

お腹がいっぱいの時はうまく記憶できない。だらけても良さそうです。

記憶力を高めたい人は是非読んでおこう

勉強法やうまく記憶する方法などの本・情報はたくさんありますが、私が読んだ中ではこの本が一番ためになりました。

というのも池谷祐二さんが協力しているので、データが正確なのです。他の本は経験論で書いているものが多いですが、この本は違います。実験のデータも書かれていて説得力があります。

勉強法の本は「どうだ、オレすごいだろ?」という自慢に終始してしまうものも多いため、「のうだま」で科学的な根拠を読んだ方が圧倒的にためになります

池谷さんがお勧めする方法も各所に書かれており、すぐに実践できます。読んで良かった。

ちなみに私が池谷祐二さんを初めて知ったのはビートたけしが出ているニュース番組です。初めて見たときから好印象でした。少しは知っている人が本を書いていると興味がより持てます。

前作よりもマンガの書き方もうまくなっていて読みやすかったです。


のうだま2 記憶力が年齢とともに衰えるなんてウソ! (幻冬舎文庫)


のうだま1 やる気の秘密 (幻冬舎文庫)