最近は少しずつカバディの知名度が上がってきたように思います。私は10年以上前に知ったのですが、その頃と比べるとかなり状況が違います。
『灼熱カバディ』はその徐々に広まりつつあるカバディの高校生の部活を描くマンガ。
私もこのマンガの作者と同じく、カバディはジョークになるスポーツと捉えていました。
ですが、このマンガを読みながら、実際に自分がやってみるならどうするかを考えていくと、奥深さに気付かされます。
鬼ごっこのような子供の遊びと思っていましたが、随分と想像と違います。
カバディカバディ…
カバディは相手の陣地に入った瞬間からずっと「カバディカバディカバディ…」と言い続け、自陣に戻ってくるまで言葉をとめてはなりません。息を吸えません。
相手の陣地に入って相手をタッチして自陣に戻ってくるとポイントが貰えます。相手はタッチしてくる相手を陣地に戻れないようにするとポイント。
これを対戦チームが交互に行って得点を競い合うゲームです。ルールはかなり簡単です。
「カバディカバディ…」と言い続けなくてはならないルールが面白いので、このスポーツを知らない人に話すと結構ウケます。
タッチして戻るのは難しい
相手の陣地に入れるのは一人だけ。それに対して押さえ込もうとしてくるのは7人。タッチして戻るのはかなり難しいです。
そこで色々な知識や戦略が必要になってきます。1巻が良くまとまっています。できるだけ自陣に戻りやすい位置を取ったり、相手を如何に誘導するかを考えたり、押さえ込むときのフォーメーションを素早く作ったり。
相手にタッチするときも色々なやり方があります。相手の隙を突いてタッチするのはみんな思いつきますが、押さえ込もうとする手を払ってタッチしたり、押さえ込んできた相手を受け流してタッチとしたり、足でタッチをしてみたり。
色々なタッチがあります。
タッチして戻れるかが勝負の見所
タッチしてきた相手を止めようとして押さえ込みますが、その時に相手の陣地に戻られてしまうと、タッチされた人全員がコートから出なくてはなりません。
攻めのチームは自陣に少しでも触れれば戻ってきたことになる
コートから出てしまうと、ドッジボールのように自軍がポイントを得ないとコートに戻れません。
この攻防が面白いですね。このマンガの良いところは、勝負が最初からお決まり通り進まないことです。
強いプレイヤーが絡め取られてしまうこともあり、主人公たちのチームがなかなか勝てなかったりします。先が読めないのがすごく面白いです。
「ここでタッチして戻らないと不味いぞ!」という場面で、主人公たちに有利に進むとは限らないのです。
最近のマンガは合理的な努力を描く
この『灼熱カバディ』にも強いプレイヤーがたくさん登場するのですが、天才を始めから天才とは描いていません。
マンガの読者に天才とは住む世界が違うと感じさせず、そういう人たちも努力を重ねてきているんだと描いています。
実際好きこそものの上手なれという人はよく見ます。そういう人たちは努力を苦に感じないんですよね。そこが凡人との分かれ目ですね。
最近のマンガはこの傾向が強いように思います。とにかく周りを気にせず努力を重ねる、今の若者の合理的な思考がマンガに現れているように感じています。
この『灼熱カバディ』の主人公も思考して努力をするタイプで、どうやったら勝てるようになるのか考えながらやってくれて、とても良いです。
テキトーにひたすら筋トレをしたらうまくできた、ということがありません。最近のスポーツは全部こうですよね。
しっかり理論に基づいて練習するようになっています。かつてのように感情論ではなく理論的にやる時代です。
これは良いことだとは思いますが、裕福でないとスポーツでトップにいくのが難しくなっています。資金力の差がどうしても出てしまうようになりました。
カバディは始めるために必要なもの(服装とシューズとプロテクターぐらい?)が少なく、道具にかかるお金が少なくてとても良いですね。
小学校とかでも流行ってもいい
カバディはルールが簡単なので小学校とかで遊びとしてもう少し流行ってもいいのに、なんで流行らないんでしょう。単に知名度が低いだけ?
男女が一緒にやるカバディはちょっとマズそうですね…。エロマンガ的には良いのですが。
男女別々でやるしかありませんね。ドッジボールのように球が飛んでくる怖さはありませんし、始めやすいスポーツの気がします。
ただ、相手を押さえ込むときに怪我がありそうです。足を掴んで相手を陣地に帰さないようにするときに、うまくやらないと顔を蹴られます。押さえ込みの力が強いとそれも危険ですし。
カバディが流行らないのは怪我の危険からなのかも。